メディアネットの電子書籍

注目の社会小説シリーズ!

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NEW

電子書籍の出版を始めました

 話題のテーマを小説で知る、新しい電子書籍専門の出版を開始しました。
 現代社会に潜むさまざまな問題。メディアやWebでは連日のように取り上げられているのに、「難しそう」「自分には関係ない」と敬遠していませんか? そのような方に、弊社では “ノベル・ジャーナル” とも言える小説を、気軽に楽しんで社会問題がわかる電子書籍にしてお届けします。
 電子書籍はAmazon Kindleにてご購入いただけます。また、Amazonで冒頭を立ち読みすることも可能です。ぜひ一度手に取って、物語の世界に触れてみてください。

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就活に潜む罠

望月紗良

 この小説は、現代日本が直面している深刻かつ見過ごされがちな社会問題──若者の就職活動の裏側で進行する「個人情報の売買」という闇に切り込んだ、極めて現実的で警鐘的な物語だ。

 就職支援サービスや人材紹介会社が、登録した学生の学歴や成績、家族構成、志望業界、さらには面接の発言内容までもを“商品”として企業に販売する。その事実を、スリリングな展開の中で読者に突きつける。

 物語は、就活支援会社で働く1人の女性カウンセラーが、学生から寄せられる不可解な相談をきっかけに始まる。応募していない企業から突然スカウトが届く──その背後には、業界ぐるみの個人情報流通網が存在していた。

 主人公は人事担当を装って業者に接触し、料金表や取引の仕組みを直接確認する。そこでは学生の知らぬ間に形成された「選ばれし者」という幻想が利用され、企業にとって都合よく誘導される仕組みが出来上がっていた。

 しかし、決定的な証拠をつかんだ直後、彼女は会社に正体を知られ、不当解雇と同時に報復が始まる。クレジットカードの不正利用、虚偽の噂による社会的信用の失墜、生活への嫌がらせ──すべてが自分の個人情報を逆手に取った攻撃だった。それでも彼女は諦めず、志を同じくする仲間や週刊誌記者と手を組み、実名での告発に踏み切り、物語は緊迫のクライマックスへと突き進んでいく。

 特に、これから就職活動を迎える若い世代や、就活に関わる保護者・教育関係者にはぜひ手に取ってほしい1冊だ。単なる就職ノウハウ本や自己啓発書では決して知ることのできない、「もう一つの就活の現実」がここにはある。

 本書を読めば、自分の情報がどのように扱われ、どんな形で利用される可能性があるのか、そしてどう身を守るべきかを考えるきっかけになるはずだ。サスペンスを楽しみながら学べる、社会派エンターテインメントの醍醐味を味わっていただきたい。

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フェイクニュース

鷲坂千明

 現代社会の闇を暴く衝撃のサスペンス小説!

 SNSで瞬時に拡散される情報、その真偽を見極めることの難しさ──。いま最も注目されている「フェイクニュース」問題を鮮烈に描いた、読み応え抜群の社会派サスペンス小説。

 主人公は、通勤電車でSNSのタイムラインを眺める普通の会社員。ある朝、人気カフェチェーンの衛生問題を告発する衝撃的な記事を目にし、正義感から何の疑いもなくその情報を拡散してしまう。しかし、それは巧妙に仕組まれたフェイクニュースだった。

 情報を確認せずに投稿するという軽率な行動は、親友の会社でのデマ被害、知人の投資詐欺被害など、身近な人々に深刻な影響を与えていく。さらに恐ろしいことに、彼の元には謎の脅迫メールや不審な配達物が届くようになり、家族への脅迫まで始まる。

 真実を追求しようとする主人公は、独立系ジャーナリストと出会い、フェイクニュースの背後に潜む巨大な組織の存在を知ることになる。その闇の組織は既存メディアへの不信を煽り、世論を操作することで、政治的・経済的な目的を達成しようとしていた。

 主人公は偽りの協力者として組織に潜入し、命懸けで真実を暴こうとする。彼らの秘密拠点で目にしたのは、20年前のある事件を悪用した犯罪疑惑、政府予算の不正流用、国際的なマネーロンダリング……想像を絶する闇の実態だった。

 この小説の最大の魅力は、フィクションでありながら、現実のフェイクニュース問題の構造や手口を詳細に描いている点だである。読者は主人公と共に情報の真偽を見極める難しさを体験し、メディアリテラシーの重要性を自然と学ぶことができる。

 物語は、まさに現代ならではの展開でクライマックスを迎える。情報があふれる現代社会を生きる全ての人に読んでほしい、エンターテインメント性と社会性を兼ね備えた傑作。小説を楽しみながら、私たちが直面している情報社会の危険性と、それに立ち向かう術を学べる貴重な一冊だ。

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なりすまし

大沢隆

 あなたのマイナカードが狙われている!

 ──マイナンバー制度がスタートして10年、多くの賛否両論が沸き起こったが、健康保険証が紐付けられ、そして運転免許証もマイナカードに組み込まれはじめた。その便利さの裏に潜む「制度の盲点」が、いま社会の深層を静かに揺さぶっている。

 本書は、現代日本で進むデジタル行政と個人情報の一元管理、そのなかで起こる「なりすまし」という見えにくい犯罪をテーマにした社会派ミステリー。

 主人公・杉本梨恵は、ある日、病院の窓口で「すでに保険証が使われている」と告げられ、自分のマイナンバーカード情報が「他人に使われている」ことを知る。だが、相談した区役所も警察も「制度上の照合は正常」と取り合ってくれず、梨恵は否応なく自分の存在が制度から消されていく恐怖に直面する。

 そこから始まるのは、奪われた名前を取り戻す戦いだけではなかった。梨恵は「自分の名前」が複数の他人に使われ、「子を持つ母親」「法人の代表」「別の都市の住民」として照合されていた事実を突き止めた。しかもそれらは、制度上すべて「一致していた」のだった。

 物語はサスペンスとしての緊張感を保ちながら、やがて「制度における人間の実在とは何か」」という重い問いへと踏み込んでいく。

 本書の最大の魅力は、ストーリーに引き込まれながら、読者自身が今まさに日本で進行中の「情報照合社会の構造問題」に触れることができる点にある。マイナンバー制度の穴、本人確認の形式主義、なりすましを可能にする行政の運用実態──それらは実在の制度と地続きに描かれ、事実よりも鮮烈に「リアル」を伝えている。

 読むことで社会の裏側が見える。楽しみながら、制度の矛盾に気づく。『なりすまし』は、そんな一歩先の現実を描く物語である。

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クルド人街

堤崎かずさ

 東京近郊の古い商店街で、密かに進行する「もう一つの日本」の物語。

 バブル崩壊後の工場地帯に定着し始めたクルド人たち。彼らは祖国で迫害され、「帰る場所」を失った人々が大半を占める。一方、高齢化と衰退に直面する日本の地域社会。この交錯する運命が、予期せぬ軋轢と可能性を生み出していく。

 本書は単なる異文化共生の物語ではない。日本が直面する「移民」という避けられない現実を、繊細な描写で掘り下げる社会派小説である。

 地元新聞の女性記者と、祖国で教師だったクルド人。二人の視点を通して、宗教、教育、労働、アイデンティティなど、現代日本社会が抱える根源的な課題が浮き彫りになる。

 温かな人間ドラマの奥に、制度的欠陥、相互理解の難しさ、そして表面的な「多文化共生」では解決できない深い溝が描かれる。それは、日本社会の「今」と「未来」を問う物語でもある。

 解決策を安易に提示するのではなく、問いかけを続ける勇気。〝クルド人街〟は、私たちが見て見ぬふりをしてきた社会の現実に、真正面から向き合う作品である。

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小説・LGBT法

南條さとし

 2023年、日本にLGBT法があっという間に成立した。メディアにも賛否両論取り上げられたが、世界でも稀なこの法律を巡り、日本社会で様々な立場の人々の葛藤と成長を描いた社会派小説。

 政治の裏側で妥協を重ねた国会議員、LGBT教育に奮闘する養護教諭、声を上げ始めたNPO代表、トランスジェンダーとして生きる高校生、そして価値観の変化に戸惑う保守的な地域住民。これらの人々の視点を通して、法律だけでは変わらない現実社会の課題に迫る。

 学校でのいじめ、職場での差別、家族との軋轢、公共施設の利用問題など、現代日本が直面する社会問題をリアルに描きながらも、希望の光を失わない物語が展開されていく。

「法律は変わっても、人の心はすぐには変わらない」という現実と向き合いながら、それでも一歩ずつ前に進もうとする人々の姿に、勇気と感動を覚えるはずだ。

 単なる理想論ではなく、対立や葛藤も描きながら、多様性を認め合う社会への道筋を探る本作は、読後に深い余韻と考える機会を与えてくれる。

 社会問題に関心がある方はもちろん、心温まる人間ドラマを求める全ての読者におすすめの一冊。