「自分史を書いてみたいけれど、何から始めればいいかわからない」「文章を書くのが苦手だから無理かも」そんな風に思っていませんか?
自分史は決して特別な人だけが書くものではありません。あなたの人生には、必ず誰かに伝えたい物語があります。完璧な文章でなくても、あなたらしい言葉で綴られた体験談は、家族にとって何よりも貴重な宝物になるはずです。
ここでは、初心者でも無理なく自分史を書き始められる方法をご紹介します。
人生を振り返ることで、自分がどんな価値観を持ち、何に影響を受けて今の自分があるのかが見えてきます。「あの時の決断が今につながっているんだな」という発見があるでしょう。
散らばった記憶を時系列やテーマごとに整理することで、自分の人生に一本の筋が通ります。混沌としていた過去が、意味のある物語として生まれ変わります。
あなたの体験談は、子どもや孫にとって何よりも興味深い読み物です。「おじいちゃん・おばあちゃんにもこんな時代があったんだ」という驚きと共に、家族の絆も深まります。
時間が経つにつれて、記憶は曖昧になっていきます。今のうちに文字にしておくことで、かけがえのない思い出を永続的に保存できます。
まず「なぜ自分史を書くのか」を考えてみましょう。家族に残したいから、自分の人生を整理したいから、単純に楽しそうだから。どんな理由でも構いません。目的が明確になると、書く内容や文体も自然と決まってきます。
誰に読んでもらいたいかを考えると、書きやすくなります。子どもたち、孫、友人、それとも自分自身?読み手によって、詳しく説明する部分や省略する部分が変わってきます。
《手書き》温かみがあり、筆跡も思い出の一部になる
《パソコン》修正が簡単で、写真も挿入しやすい
《録音》話すのが得意な人におすすめ、後で文字起こしも可能
《スマホアプリ》いつでもどこでも書ける手軽さが魅力
古いアルバム、日記、手紙、卒業アルバム、賞状などを集めましょう。見ているだけで忘れていた記憶がよみがえってきます。家族に協力してもらって、一緒に思い出話をするのも効果的です。
《幼少期(0-12歳)》生まれた場所、家族構成、印象に残っている遊びや出来事を書きます。「母によると」「父から聞いた話では」という書き出しで、自分では覚えていない頃のエピソードも含められます。
《学生時代(13-22歳)》部活動、友人関係、恋愛、進路選択など、人格形成に大きな影響を与えた時期です。失敗談も含めて正直に書くと、読み手にとって親しみやすい内容になります。
《社会人時代(23歳-現在)》仕事、結婚、子育て、転職、趣味など、人生の中核となる体験を書きます。時代背景も一緒に記録すると、後で読み返したときに臨場感が蘇ります。
時系列が書きにくい場合は、テーマごとに章を分ける方法もあります。
《仕事編》職歴、印象深いプロジェクト、上司や同僚との思い出
《家族編》結婚、子育て、家族旅行の思い出
《趣味編》長年続けている趣味、新しく始めたチャレンジ
《旅行編》印象に残った旅先、失敗談も含めて
《友人編》大切な友人たちとのエピソード
最初から完璧な文章を書こうとすると手が止まってしまいます。まずは思い出すままに書いて、後で整理すれば大丈夫です。
いきなり長文を書こうとせず、「今日は小学校時代のことを3行だけ書こう」というように、小さな目標から始めましょう。
「楽しかった」「悔しかった」「不安だった」など、その時の気持ちも一緒に記録します。感情があることで、読み手にとって印象深い内容になります。
「勉強を頑張った」よりも「毎晩12時まで英単語を覚える練習をした」の方が、リアリティがあります。
「何を書けばいいかわからない」──まずは年表を作ってみましょう。生年月日、入学・卒業、就職、結婚、子どもの誕生など、客観的な事実を時系列に並べます。それぞれの出来事について「その時何を考えていたか」「誰と一緒だったか」を思い出してみてください。
「文章が苦手」──上手な文章を書く必要はありません。友人に話しかけるような気持ちで、自然な言葉で書きましょう。「あの時はね」「それでね」という口調でも全く問題ありません。
「時間がない」──一日5分でも構いません。通勤電車の中、寝る前のひととき、朝のコーヒータイムなど、スキマ時間を活用しましょう。スマホのメモアプリを使えば、いつでもどこでも書けます。
「思い出せない」──完璧に思い出せなくても大丈夫です。「確か〇歳頃だったと思うが」「詳細は覚えていないが、こんなことがあった」という書き方でも十分です。家族や友人に聞いてみると、思わぬエピソードを教えてもらえることもあります。
毎日書かなければいけないという義務感は禁物です。週に一度、月に一度でも、続けることの方が大切です。自分のライフスタイルに合ったペースを見つけましょう。
決まった時間に書く習慣を作ると継続しやすくなります。「日曜日の午後」「毎月第一土曜日」など、無理のない頻度で設定してみてください。
一人で書くのが大変な時は、家族や友人に協力してもらいましょう。「あの時どうだった?」と聞いてみると、自分では忘れていた詳細を教えてもらえます。録音して後で文字起こしする方法もあります。
自分史は決して大げさなものではありません。あなたの人生は、あなただけが知っている貴重な物語です。完璧な文章でなくても、あなたらしい言葉で綴られた体験談は、きっと誰かの心に響くはずです。
まず今日は、生年月日と生まれた場所を一行書いてみませんか?そこから始まる小さな一歩が、やがて素晴らしい自分史という宝物になっていきます。
大切なのは完成度ではなく、書き始めること。そして続けること。あなたの人生物語を、ぜひ文字にして残してみてください。きっと書いている途中で、忘れていた大切なことを思い出すはずです。